太田市東今泉町は太田市のシンボル金山の東山麓に位置する。昭和38年に太田市に合併編入するまでは群馬県山田郡毛里田村大字東今泉でありました。金山山頂から眺望する東今泉町の田園風景も年々変わって来ていて、その田園の中に高速自動車道の太田桐生インターチエンジが出来たり、令和3年からは大型鉄骨建造物の建設ラッシュが始まっている。今後今泉の環境の変貌急速に進んで行くのだろうかと思うと、近未来には東田圃の広大な田園風景は完全消滅となり、そこに生息していた昆虫たち、草、花、諸々の植物はじめ、季節が来ると訪れてくれてた小鳥たちも、農水路を流れる水音の可愛い囁きもみんな消滅していく流れになるのかと感じてしまう。そう思うと一抹の寂しさと大きな寂しさに心が覆われる。
純朴な風景が当たり前のように広がっていた田園一帯に、慈しむかのような淀み流れていた数々の唱歌があり童謡があった。それらのメロディーもみんな消え去ろうとしている。小学校への登下校の学校道から何気なく無意識のようでありながらも、今思えば何となくでも田圃一帯を子供心の純真さみたいな気持ちで何かを感じたりしながら、子供心には見えた広大な田圃の世界を、漠然ではありながらも何となく何かの思いを馳せて見ていたのかなと思いたくなるのであります。
学校の帰り道に田圃の方に入り込んで遊び、時期には雲雀(ひばり)の巣を探したりのいろいろな寄り道をしたりの6年間の毎日目に入り込んでいた大海のような緑の風景が恋しい。秋には稲刈りのあちらこちらで忙しく動きまわる農家の人たちの姿が、歳月、時間が計り知れないほどに経過していても、昨日のことのように鮮明に浮かんでくるその遠く懐かしい子供の頃の東田圃の景色や風の香りや空気の記憶に、追憶心が重ねられ、浮かぶ郷愁へのざわめきが心のあちこちに派生する。消滅して行く東田圃を見ているとそう感じて来たりもするのである。